旅(たび)についてつれづれなるままに

旅のみどころ(小泉八雲記念館)

12月の松江訪問の第2弾。小泉八雲記念館を訪ねました。
言わずと知れた、ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)の記念館ですが、オープンマインド(開かれた精神)で文化の多様性に魅了されつつ世界を巡った、彼の軌跡が展示されています。

「再話」コーナーでは松江出身の佐野史郎さん(朗読)と山本恭司さん(音楽)による、八雲が再話した山陰地方の5つの怪談を味わうこともできます。

一般に「八雲」=「松江」と思いがちです。しかし、妻の小泉セツさんと出会ったのは松江ですが、当地には1年少々しか住んでいなかったようです。

東京帝国大学の英文学講師を務めており、東京に引っ越し、日本に帰化したときから「小泉八雲」を名乗るようになったそうです。八雲から英文学講師を引き継いだのが、英国から帰国した「夏目漱石」だった、というのもすごい話ですね。

館内には、愛用品や写真がたくさん展示されており、二階への階段に沿って家族写真などが見られます。八雲には3男1女があったそうですが、階段踊り場近くにそれぞれのお子さんを一人ずつの女性が見守っている写真がありました。

同行者と、「どの人がセツさんかな。」「ほかの人は乳母かな。」などと勝手な解説をしていると、一人の男性が話しかけてくれました。「どこからお見えになったんですか?」

首からIDカードをぶら下げているので係員の方かなと思い、「どの方がセツさんですか?」と尋ねてみました。その方は、眼鏡を外して写真に近づいて確認し、「どれもセツではありませんね。」と教えてくださいました。

「そうなんですか。」と納得する我々に、「これが長男の一雄で、私の祖父です。」とさらっと言われたのです。つまり・・・、と思って2段ほど上の段にいる方の顔をじっと見ると、確かに写真の面影があります。「八雲の曾孫の凡です。」と自己紹介され一瞬びっくり。

これも何かの縁、色々話を聞こうと思って楽しみにしたのですが、別の係員が呼びに来てしまいました。あきらめてそのまま会談を昇ると、2階にはホールがあって、講演会の準備がされ、受講者が座っていました。

講演会直前にも関わらず、我々の質問に対応してくださっていたのです。

その後、調べてみると、彼は小泉八雲記念館館長、小泉凡氏、その人でした。

なんとなく縁を感じる出会いで、旅が楽しくなりました。

また、子供のころ「怖いなー」という思いだけでなく、何かしら興味深いものを感じたのは、八雲の東洋文化に対する興味や多様性に対する寛容が顕れていたのかな、などと感じました。